https://blog.goo.ne.jp/deeplyjapan/e/1fb4416b58257532954f645089be31c1
より転載します。
先週、甘利氏のあまりといえばあまりの錯乱ぶりに驚いてエントリーをしたわけですが、甘利氏は結局本当に小選挙区で負けた。
小選挙区で負けるような人を自民党のリーダーには置けないので、次の官房長官は誰になるんだろうと書いたわけですが、結果は、茂木さんだそうだ。
自民幹事長に茂木氏起用へ 首相、甘利氏の後任
茂木さんは外相なので、ここをこうもあっさりいじくっちゃうってところが、日本だなぁと思った。
日本においては相変わらず外相はまったく重要なポジションじゃない。というより外務省が、米国務省の現地当局みたいな感じでしょう。だから専門職とみなされてない。
で、それはそれとして、じゃあ外務大臣は誰になるんでしょう? とりあえずそこは見もの。
■ COP26
そんな中、岸田首相はCOP26のために英国に出発。
首相「アジアの脱炭素へ決意示す」 COP26へ英国に出発
岸田文雄首相は2日午前、英グラスゴーで開催中の第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)首脳級会合に出席するため、政府専用機で羽田空港を出発した。地球温暖化対策への日本の取り組みを訴え、米欧とともに脱炭素社会の実現に貢献する決意を表明する。
脱炭素社会って、一体何なんでしょうね(笑)。よく考えるとまるで意味がわからない。
で、この会議は「失敗」するんでしょうか? というか中身が意味不明なわけだから失敗もくそもないんだけど、でも、これは政治的コミットメント、つまり国際的な公約をしてしまうという点で意味があるわけです。
そのためにこそイギリスが張り切って音頭取りをしている。BBCなんかが、各国の状況とかいってプロファイルを作ってそれに合わせて、あの国は悪い、この国はどうしたと判断したり批判したりするわけ。まったく意味もない内容を、まったく専門家でもない人たちが批判するネタがここにある。(だからまるのまま信じるのは怪我のもと)
さらに、金融界は脱炭素と名付けたプロジェクトへの資金が国家単位で動くので、そこが食い物になるので万々歳。
結果から見れば石炭火力にフィルター付けたり、天然ガスのパイプライン敷いて暮らす方がずっと安上がりだったじゃないか、となる公算は高いが、金融界、一部産業界の儲けは出る。損するのは電気代、燃料代が上がる各国の国民だけという話。
■ 「成功」して首が締まることもある
で、日本の中では温暖化は詐欺だ、という考えを持つ人が結構多いので、実は賛成してない人が多い。だが、その人たちは政府の方針を変えさせることに失敗している。日本国の表の主張は過去十数年ずっと、欧米と共に脱炭素に向かうで一致してる。
そんな中、縁起でもないものを見た気がした気がするのはこれ。
そう、そもそも中身のないことをしてきた。それは本当。
しかし、それに抵抗してきた中国、インド、ロシアを、西側諸国の反温暖化詐欺の人たちは基本的に応援してない。単に、あいつらが反対してくれて潰れるといいなぁと思ってただけ。
だがしかし、インドはちょっとわからないけど、中国、ロシアは、2050年までではなく、2060年までと西側が推進する年限を超えてはいるものの、脱炭素に向けた取り組みのロードマップは持ってる。
さらにいえば、この2060年案は、サウジアラビア、カタールなんかもそう。つまり、多分、OPEC+が共闘しない共闘体制なのかもなって感じがする。
また、中国やロシアから合意が得られない、対立している、と見せたいらしい人々が多い中(特に日本のメディアか)、譲れない線はあるにせよ、中国はむしろ前向きに取り組んでますといった主張が主意だと思う。
中国外務省が発表した。中国は2030年までに二酸化炭素(CO2)排出量を減少に転じさせ、60年までに実質ゼロにする目標を掲げる。バイデン米政権は世界で最も多くの二酸化炭素を排出する中国に目標の上積みを求めているが、習氏は現状の目標の達成に向けて取り組みを徹底すると説明した。
でしょ、やっぱり60年でロードマップに従って行動しているわけですよ。ただ、それじゃ対立にならないからメディアが書き加えている、みたいな感じが非常にする。
ロシアの場合はさらにそうで、ロシアは石炭利用が15%程度の国なので、20、30%がざらにあるEU諸国に何か言われる筋合いはありません、という態度を鮮明にしてる上に、プーチンは、ここのところ何度も、シベリアが暖かくなるとインパクトが大きいわけですから、真面目に取り組みましょう、さぁみんな協力しよう、とか言ってる。
Putin tells G20 that Russia fully committed to reducing carbon emissions & calls for global cooperation on climate change fight
ロシアは、天然ガスと共に原発産業がとても強いので、この問題に関しては、自分のところに悪い話は特にない。むしろ、好機でしょう。だから、どうしてヨーロッパはこんな馬鹿なことをやり続けているのだろう、って感じで見てると思う。
総じていえば、COP26は各国の賛成が得られて、合意がより一層本気の国際公約になるかもよ、って気がするわけです。
その場合、誰が損をするのか。
それは、自分んちに燃料がないのに他人の資源の使い方をコントロールしようとした欧州と日本、ってことになるんじゃなかろうか。
もちろんその中から技術的ブレークスルーがどうしたこうした、といったこともあり得るけども、結局そのリソースは他にも使えるリソースなのに、ひたすら錬金術ならぬ錬エネルギー術にはまっているともいえるのではなかろうか。
■ オマケ:MAD再構築と同じロジック
そう考えた時、プーチンの態度は、俺は言った、俺は何度も言った、エネルギーをそんな風に使うのは誰のためにもならないと言った、だがお前は聞かなかった、じゃあ、そのまま進め、修正するなら間違ってましたとお前が言え、という意味じゃなかろうか。もちろん、ブリュッセルに向けて言ってる。
これはちょうど、冷戦期の安定の肝だった米ソの核兵器のMAD体制を壊して、核兵器の先制使用を意図しはじめてABM条約を脱退したブッシュをなじり倒した、プーチンの2018年の一般教書演説を思い出させる。
要するに、無制限に張り合わないで、限定することで相互確証破壊を成り立たせていた。つまり、これこそ冷戦が極端に恐ろしいことにならずにすんだ肝だった。
それをいきなりブッシュがやめると言い出した。ソ連がない以上、ロシアとパリティー(同等)にしておく必要はない、つまり、ロシアはアメリカのターゲットだ、というロジックですね。
ロシアは当然大反発をするが、聞き入れられず2001年12月31日、アメリカが破棄する。
プーチンの2018年一般教書演説:強制MAD
結果的に、ロシア軍の整備が完了して、新しいミサイルのラインナップやらなにやらかにやら取り揃えて、強制的にMAD体制に持ち込んだのみならず、むしろ強くなってる。
逆に、西側諸国が何十年かかかって、馬鹿みたいな金をつぎ込んだミサイル防衛網なる代物は無駄だった。このリソースを他に使ってればなぁ、ですよ、ほんと。
この顛末とエネルギーを使ってコントロールを企てた悪だくみの顛末は相似だと思う。
■ オマケ2
それはともかく、COP26を主宰するイギリスのメディアは、とりあえず、中国、ロシアを敵視するといったモードにはなっていない感じがする。日本のメディアとはかなりトーンが違うと思う。
多分、イギリスが頑張ってますと言えればまず大成功で、中国、ロシアは国家元首はビデオ出演だが、どちらも対立的ではない内容になる感じになるんでしょう。
ということは、これはむしろ、英仏+米+中露が同じ方向を向いた融和的イベントにしている、ということじゃなかろうか。無理くりだが。
■ オマケ3
とか書いていたら、インドが初めて目標を設定してきた! 2070年目標だそうなので、中国、ロシアよりさらに遠い話だが、とりあえず、私の読みであるところの、これは結局融和イベントにするつもりじゃないのか、に1票って感じ。
インド70年に排出ゼロ COP26、途上国支援増額相次ぐ
ますます、今度も負けたのはナチだったになるんだろうか。
新大西洋憲章だそうだ & 不実のアルビオン
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