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より転載します。
世界は新しい時代へ入りつつある。その新時代でもヘゲモニーを握ろうとしているアメリカを中心とする欧米の私的権力はロシアと中国を中心とする勢力を屈服させようと必死で、ウクライナや東アジアなどで軍事的な緊張が高まっている。中東やアフリカも2勢力が衝突する舞台になってきたが、ここにきてアメリカは中央アジアに火をつけようとしている。
その一方、私的権力の代理人的な存在であるWEF(世界経済フォーラム)の創設者、クラウス・シュワブはCOVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)を利用して資本主義システムを大々的に「リセット」するべきだと主張した。
現在のシステムはドルが中心。そのドルを発行する特権を持つアメリカの私的権力は圧倒的に優位な立場にある。そのシステムを維持するためにドルを実世界から私的権力の下へ還流させる必要がある。そこで考えられたのが石油取引のドル決済と金融規制の大々的な緩和。
1971年までドルは兌換紙幣であり、金という裏付けがあった。その頃まで金はイギリスの支配下にあった南部アフリカが産出量で圧倒していたことから金本位制の通貨をコントロールできたのだが、その比率が急速に低下していく。そしてリチャード・ニクソン米大統領はドルと金の交換を停止すると発表したわけだ。
金という制約なしにドルを発行できるようになったとも言えるが、何も対策を講じないと実世界にドルがあふれ、インフレになってしまう。そこでドルを還流させる仕組みが作られたのだ。
世界は石油を必要としている。その石油を買うためにドルが必要となれば、各国はドルをかき集めるしかない。そして産油国へドルは集まるが、そのドルがアメリカへ戻る仕組みが作られたのだ。サウジアラビアをはじめとする産油国に対し、アメリカの私的権力はドル決済を認めさせる代償として、ニクソン政権は産油国に対して国の防衛と油田地帯の軍事的な保護、必要とする武器の供給、支配的な地位や収入の保障などを約束した。いわゆる「ペトロダラー」の仕組みだ。
その還流効率を高める意味もあり、私的権力は原油相場の大幅な引き上げを実行した。サウジアラビアのファイサル国王の腹心で石油鉱物資源相を務めたシェイク・ヤマニによると、1973年5月にスウェーデンで開かれた「秘密会議」でアメリカとイギリスの代表が400%の原油値上げを要求、オイル・ショックにつながったという。この会議はビルダーバーグ・グループの会合だったことが後に判明する。この会合は1973年5月11日から13日にかけてスウェーデンで開かれている。
ヤマニによると、ファイサル国王は価格の高騰が代替エネルギー源の開発を刺激するとして値上げに反対していた。そこで国王はヤマニをイランのパーレビ国王の下へ派遣したのだが、そこで「なぜ原油価格の値上げに君たちは反対するのだ?そう願っているのか?ヘンリー・キッシンジャーに聞いてみろ、値上げを望んでいるのは彼なんだ」とパーレビから言われたという。
石油相場が急騰した直接的な原因は1973年10月の第4次中東戦争。戦争勃発から10日後、OPECに加盟するペルシャ湾岸の6カ国が原油の公示価格を1バーレルあたり3.01ドルから5.12ドルへ引き上げると発表している。
この戦争はエジプト軍の奇襲攻撃で始まり、イスラエルは窮地に陥った。キッシンジャーはエジプトのアンワール・サダト大統領をアラブ世界の英雄に仕立て上げると同時にイスラエルへ和平交渉に応じるようプレッシャーをかけようとしたとされているが、石油相場を急騰させることもシナリオに含まれていたはずだ。
当初、戦争はキッシンジャーの思惑通りに進むが、これを懸念する声が国防長官や統合参謀本部議長などから出てくる。そして統合参謀本部ではイスラエルを助ける方法を検討するが、キッシンジャーは妨害したという。後にネオコンの中心的な存在になるリチャード・パールやポール・ウォルフォウィッツはキッシンジャーの動きに激怒している。(Len Colodny & Tom Shachtman, “The Forty Years War,” Harper, 2009)
1970年代から金融規制の大幅な緩和で投機市場が肥大化していくことは言うまでもないだろう。実世界から資金を吸い上げて「バブル」という現象が現れるが、これは「ハイパーインフレ」の別形態だ。
しかし、その後、アメリカの中東における支配力が弱まっていく。ウェズリー・クラーク元NATO欧州連合軍最高司令官によると、2001年の9月11日にニューヨークの世界貿易センターとバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃された直後、ラムズフェルド長官の周辺では攻撃予定国リストが作成されていた。イラクを手始めに、シリア、レバノン、リビア、ソマリア、スーダン、そしてイランを破壊するとされていたという。
ドル体制からの離脱を目論んでいたサダム・フセインが支配していたイラクを先制攻撃で破壊したのは2003年。2010年から「アラブの春」というムスリム同胞団を中心とする体制転覆運動が始まり、アフリカに共通通貨を導入しようとしていたリビアのムアンマル・アル・カダフィの体制は2011年に潰された。2001年に攻撃が予定されていた国々は実際、攻撃の対象になっている。
しかし、それでも中東での支配力を回復するというアメリカの計画は実現していない。そこで中東への依存度を低下させる必要性が強まっているわけだが、これはペトロダラーへの依存を低下させるということでもある。その目的を達成するためにも「カーボンゼロ」、そして通貨のデジタル化は必要なのだろう。デジタル化が進めばコンピュータによる通貨の管理が容易になる。
リセットを実現するためにも使われているCOVID-19騒動は人びとの行動を制限、生産活動を麻痺させたが、石油の需要を低下させる要因にもなる。その騒動が始まって3年目に入ろうとしている今、「感染」に対する疑問が強まり、「COVID-19ワクチン」の危険性が明確になってきた。COVID-19の蔓延を演出する道具として使われてきたPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)検査が診断には不適切だということをWHO(世界保健機関)やCDC(疾病予防管理センター)も否定できなくなっているが、それでも日本は使い続けている。PCRのほかに「感染拡大」を演出する有効な手段が思いつかないのだろう。
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