2017年4月27日木曜日

美しい風景

今から5・60年前、中学の教師はこう言った。
「貧乏は悪いことではない。
つぎはぎの服でもよい。
汚れを洗濯して着ていればそれで良い。」

当時、清貧は美徳だった。

現代の立候補者たちは言う。
「豊かな街を作ります。
企業を誘致します。
病院を作ります」

田舎町の青年は言う。
「この町にはほかの町と対抗できる産業がない。
楽してお金を稼ぎたい。
娯楽施設がほしい」

現代では清貧は悪徳だ。

最も尊敬されるのは、
金儲けのうまい政治家と、
金儲けのうまい医者と、
金儲けのうまい商人だ。

僕のいる新潟県は、今 山菜の花盛りだ。
夏になると食べきれないほどの野菜ができる。
秋の味覚も捨てがたい。
ここで生活するには、お金は必要最小限でいい。

でも、お金と、安楽な生活を求めて街に出て行く人々の群れは止まらない。

桜の季節になれば、山里の一本桜やヤマザクラに目を止める人はいない。
人々は、三大夜桜や名所といわれる所になだれ込む。

目の前の四季の移ろいに目をやらず、
テレビやラジオ新聞の「情報」に振り回されて、
本当の「自分」を見失っているように見える。

一番美しいのは、自分自身の心の中に見える風景だってことに、
誰も気づかない。




0 件のコメント:

コメントを投稿