2021年3月2日火曜日

超インフレが始まるか❓ーー田中ニュースより

 田中宇の国際ニュース解説 会員版(田中宇プラス)202132

http://tanakanews.com/


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インフレで金利上昇してQEバブル崩壊へ

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世界的なコロナ危機の長期化による流通システムの混乱などから、食料やエネル

ギー、コモディティ、建築材料、電子部品など、物資全体のインフレ・価格上昇

が世界中で始まっている。今はまだインフレを感じていない人々も、数か月後ま

でに価格上昇を身近に感じられるようになる。今の世界的なインフレは昨秋から

しだいに深刻さを増しており、今後は少なくとも来年まで(多分もっとずっと)

続く。インフレが長びくほど価格上昇が加速し、ハイパーインフレ・超インフレ

になっていく。インフレは、債券や融資の金利を上昇を引き起こす。インフレは

時間軸に沿った通貨の価値の低下であり、融資や債券など資金の時間貸しの対価

である金利の利率は、インフレ率を加算して上がっていく。金利上昇が続くと債

務を返済できない企業や個人が増え、倒産や破産が増えて経済が悪化する。株式

の多くは債券発行など負債で得られた資金で買われているため、負債のコスト増

である金利上昇は、投資家の資金切れから株価の下落につながる。


http://www.zerohedge.com/markets/hedge-fund-cio-endgame-we-are-entering-hyper-speculation-phase

Hedge Fund CIO: "This Is The Endgame - We Are Entering The Hyper Speculation Phase"


http://www.zerohedge.com/markets/there-will-be-fear-ark-invests-cathie-wood-warns-stock-market-correction

"There Will Be Fear" - ARK Invest's Cathie Wood Warns Of Stock Market Correction


消費者物価指数(CPI)は、米国で1.4%、日本はマイナスだ。CPIから見る

と、日米など先進国はインフレでない。だが、当局はCPIの数値を(不正に)

操作している。たとえば米国の食料価格は明らかに上がっているが、CPIに反

映されていない。近年、先進諸国の経済指標の多くが、経済の実体を反映しない

全く頓珍漢なものになっている。CPIはその一つだ。(今後の経済状況を予測

的に測る指標とされてきた株価は、大恐慌なのに史上最高値を更新している。失

業率もかなり前から歪曲されている)


https://tanakanews.com/210117bank.php

米大都市の廃墟化・インフレ激化・銀行やドルの崩壊


https://www.knowledgeleaderscapital.com/2021/02/19/inflation-here-there-and-everywhere/

Inflation Here, There, And Everywhere


最近マスコミの信頼性の落下が加速して「偽ニュース」と化しているのと対照的

に、以前は偽ニュースと誹謗中傷されてきたオルトメディアの相対的な信頼性が

上がっている。そのオルトメディアが最近、インフレになる、超インフレなって

いく、QEが効かなくなる日が近い、金利もいずれ上昇する、株はいずれ暴落す

る、といった予測を頻繁に出している。インフレが超インフレになり、金融崩壊

を引き起こす可能性が、幾何級数的に高まっている感じがする。


https://www.woodworkingnetwork.com/news/woodworking-industry-news/lumber-prices-hit-record-high-more-white-house-intervention-urged

As Lumber Prices Hit Record High, Homebuilders Urge Biden To Intervene


https://schiffgold.com/peters-podcast/peter-schiff-inflation-is-good-for-gold-high-inflation-is-better-for-gold/

This Whole Market Is Built On A Foundation Of Cheap Money


先進諸国のマスコミや中央銀行など政府当局は最近、インフレの傾向や懸念を認

めながらも、物価上昇には時間がかかるとか、コロナ危機が解消されていかない

とインフレにならないと言っている。政府や権威筋は、今の世界的なインフレ傾

向を、コロナ危機がおさまってきて経済活動が再開されつつあるので経済が過熱

しそうな感じが強まり、インフレになりそうになっているのだと説明している。

私が見るところ、この説明は(意図的な)間違いだ。インフレは、コロナ危機に

よる流通システムの混乱・不正常が主因だ。国連の食糧機関FAOによると、世

界の食料価格の指数が昨年5月から上がり続けている。昨年5月は、昨年3月か

ら始まったコロナ愚策の都市閉鎖による世界恐慌の真っ最中だった。経済過熱が

物価高の原因、というマスコミ権威筋の「解説」がウソっぱちだとわかる。


https://schiffgold.com/key-gold-news/the-fed-just-keeps-getting-more-and-more-dovish/

The Fed Just Keeps Getting More And More Dovish


http://www.washingtonpost.com/business/junk-bonds-with-low-yields-heres-why-theyre-hot/2021/02/25/c8a85948-772e-11eb-9489-8f7dacd51e75_story.html

Junk Bonds With Low Yields? Here’s Why They’re Hot


米政府はコロナで打撃を受けている米国民の生活を支援するため、全国民に1400

ドルずつ配る政策を進めている。米国は最低賃金も引き上げる方向だ。これらの

政策は、流通の混乱で品薄になっている個人消費用の商品の価格上昇を引き起こ

し、インフレを加速する。また、最近の記事に書いた、米国西海岸などの港湾で

のコンテナ船の積み下ろしにかかる時間の長期化による世界的滞船で、コンテナ

船の運賃は1年前の3倍から15倍になっている。とくに極東と欧州の間の運賃

10-15倍になっている。滞船と流通混乱でコンテナの不足もずっと続いており、

コンテナの使用料も高騰している。これらの運賃高騰も、あらゆる商品の価格

上昇になっている。


http://www.nasdaq.com/articles/inflation-is-coming-for-your-wealth.-heres-what-investors-can-do-about-it-2021-02-27

Inflation Is Coming for Your Wealth. Here’s What Investors Can Do About It


http://tanakanews.com/210221bubble.php

金融バブルを無限に拡大して試す


コロナ危機は、世界の上の方が(覇権転換の促進などの目的で)意図的に起こし

て長期化しているものなので、目的が達成されるまでコロナ危機が続く。ワクチ

ン接種が進んでも、ワクチンの効果が限定的だという話になり、コロナ危機は終

わらず、経済の回復も進まない。それでもインフレが今後じわじわ進むだろう。

今のインフレは景気過熱が原因でない。景気過熱でインフレになるかもというマ

スコミ権威筋の見方はインチキだと、オルトメディアの多くも言っている。不景

気とインフレが同時に起きるスタグフレーションになる。


http://www.cnbc.com/2021/02/25/stocks-just-got-some-new-competition-from-bonds-as-10-year-rate-tops-dividend-yield.html

Stocks just got some new competition from bonds as 10-year rate tops dividend yield


http://www.zerohedge.com/markets/brace-rampant-inflation-hedge-fund-billionaire-stunned-market-craziness-sees-trouble-ahead

'Brace For Rampant Inflation': Hedge Fund Billionaire Stunned At "Market Craziness", Sees "Trouble Ahead"


インフレになると金利が上がる。たしかに最近、世界の債券金利の頂点である

10年もの米国債の金利が、今の危険水域と言われる1.5%を超えて上昇した。だが

その後、週明けの今日は10年もの米国債金利がどんどん下がって1.4%前後に戻っ

ている。ジャンク債の金利もここ数日で少し上がったものの、金利水準自体は

4%台で異様に低い(ジャンク債金利は10%を超えないと高くない)。インフレに

なっても金利が上がらないのは、米連銀などがQEの資金を債券市場に注入して

買い支え、金利の上昇を止めているからだ。コロナ危機発生直後に暴落した株と

社債の相場を数か月かけて(経済実体と関係なく、不正に)反騰させていったの

はQEだ。今の世界経済の頓珍漢な状態の多くはQEが元凶だ。


http://www.msn.com/en-us/money/markets/corporate-e2-80-98junk-bonds-e2-80-99-stumble-as-treasury-yields-spike/ar-BB1e1z2x

Corporate ‘junk bonds’ stumble as Treasury yields spike


米国債の金利が上がるのは、世界が米国の国債や社債を買ってくれない傾向を強

めているからだ。これまで米国債とドルは世界で最も便利な備蓄資産・基軸通貨

であり、みんなが米国の債券を持ちたがった。だが今、金融的に不健全なQEへ

の依存を高めるばかりで、外交安保的に頓珍漢な行動も増している米国への信頼

低下が加速し、世界が米国の債券を持ちたがらなくなっている。


http://www.reuters.com/article/us-global-markets-idUSKBN2AP021

Surging bond yields lead global equities to tumble


中銀群はいくらでも通貨を発行できるので、QEは無限の資金力を持っている。

米連銀だけでなくEUのECBと日本の日銀もドル延命に協力してQEを続けて

いる。金利が上がった分だけ米日欧の中銀群がQEによる債券買い支えを増やせ

ば金利を元に戻せる。だが、米連銀がQEを増やすほど、世界は米国・ドル・米

国債への信用を失う。最終的に、米財務省が発行した米国債のほとんどを中銀群

がQEでドルを造幣して買い支えるという、自家消費のみの状態になる。日銀が

日本の国債と株式を買い支えている日本はすでにそれに近い状態だが、日本国債

はほとんど日本国内で売買され、世界的な広がりが少ない。対照的に米国債やド

ルは、基軸通貨として世界での役割が大きい。世界が買取・保有してくれなくな

ったら、ドルや米国債は存在意義を失う。これは米国の金融覇権の崩壊である。


http://www.msn.com/en-us/money/markets/3-reasons-the-rise-in-bond-yields-is-gaining-steam-and-rattling-the-stock-market/ar-BB1e1wa4

3 reasons the rise in bond yields is gaining steam and rattling the stock market


米国が金融覇権を失っても、QEを無限に拡大していけば債券や株の相場を維持

できるのか??。そんなはずはない、どこかで金融崩壊が起きる、とこれまで書

いてきた。常識的には、米国が覇権を失う過程で金融も崩壊する。だが、それは

いつなのか??。08年のリーマン危機で金融崩壊が始まって以来、すでに12年間

もQEによって金融崩壊が進展せずバブルが延命している。ここ数日も、いった

ん上がった米国債金利が再び下がった。今夏までに世界的にインフレが激化して

も、QEを拡大して債券を買い増して金利上昇を抑止すれば、金融相場は下がら

ない。インフレで一般市民の生活がどんどん悪化しても、金融バブルは維持され

て金持ちエスタブは保護され続ける。もしかすると今後、米国の覇権低下が進ん

でも、なかなか金融崩壊しないかもしれない。QEは延命装置だ。医療の分野で

は、死にそうな人を延命装置で植物人間にして何年も延命させることができるが、

それに似たことがドルや米金融システムで起きている可能性がある。


http://www.zerohedge.com/markets/morgan-stanley-was-historic-vol-shock-its-almost-over

Morgan Stanley: "This Was A Historic Vol Shock, But It's Almost Over"


最近、インフレが金利上昇につながりそうな感じが見えてきた後、金相場が暴落

している。インフレになると金地金は高騰するはずだが、それと正反対のことが

起きている。中銀群がQEの資金で金先物を売り続け、金相場の上昇を止めてい

る。上昇抑止だけでなく暴落させているのは、上昇抑止の手加減が強すぎるから

だ。手加減が弱いと、何かの拍子に金相場が急騰しかねないので、それを抑える

ため、強めの抑止にしてあるのだろう。株価が何かの拍子に暴落するのを防ぐた

め、下落防止の手加減を強くしすぎて株の史上最高値を更新させ続けているのと

同じやり方だ。事態が前よりかなり不安定になってきている。延命装置=QEの

ボリュームをかなり上げないと、植物人間になっている米金融システムの生命を

維持できなくなっている。QEによる米金融システムの延命措置が限界に近づい

ている感じもする。


http://www.zerohedge.com/crypto/death-logic

The Death Of Logic


QEによる米金融延命措置は今後どのくらい続けられるのか。2つのシナリオを

考えた。一つは今秋までに延命できなくなるという予測。もう一つはあと2-3年

もつという予測だ。2-3年以上は延命しにくい感じがする。その理由は多極化

だ。現時点で、世界経済の60%が先進諸国(米欧日)、40%が発展途上・新興諸国

(中国筆頭)だ。先進諸国は、ドルや米国債を頂点とする米国中心の「QE地域」

である。新興諸国は、中国が音頭をとって非米化・非ドル化を進めており、

QE地域から分離独立した経済圏になりつつある。コロナの愚策な都市閉鎖によ

る経済の自滅は先進諸国がひどい状態である半面、中国など新興諸国の多くは早

々と経済回復している。コロナの長期化で、世界経済に占める先進諸国の割合が

縮小し、新興諸国の割合が拡大する速度が増している。


http://www.zerohedge.com/markets/peter-schiff-reality-nobody-wants-acknowledge

Peter Schiff: The Reality That Nobody Wants To Acknowledge


あと2-3年すると、先進諸国より新興諸国の方が経済が大きくなる。そうなる

と、世界は経済面で先進諸国を必要としなくなる傾向が増す。ドルや米国債が崩

壊してもかまわない状態になる。日本はすでに経済的に米国の傘下から中国の傘

下に移動した。豪州も同じ方向だ。独仏も、米国より中国が重要だと思い始めて

いる。日欧は、米国覇権への依存が減り、米金融の延命措置への協力もしなくな

る。これらの予測から、QEの米金融延命策はもってもあと2-3年でないかと

考えられる。


http://www.zerohedge.com/markets/ecb-banker-first-openly-calls-more-qe-response-yield-surge

ECB Banker Is First To Openly Call For More QE In Response To Yield Surge


米金融界でも、最近の記事で紹介したロビンフッドとヘッジファンドの果し合い

のように、延命措置の終焉直前の不安定・乱高下に乗って儲けようとする勢力が

増え、金融システムがますます不安定になる。ロビンフッドは銀相場のつり上げ

も手がけているが、これはQEによる金銀相場の上昇抑止を破綻させて儲けよう

とするものだ。銀相場のつり上げが進むと、次は金相場のつり上げ・上昇抑止策

破壊も試みられるかもしれない。QEの限界が見えてきて、米覇権の終わりが近

づくほど、金融システム揺さぶって儲けようとする金融筋も群がってきて、シス

テムの終焉が前倒しされる。


http://www.zerohedge.com/commodities/gofundme-campaign-seeks-15000-silver-short-squeeze-billboards

GoFundMe Campaign Seeks $15,000 For Silver Short Squeeze Billboards




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2021年2月8日月曜日

覇権国に戻らない米国ーー田中ニュースより

 田中宇の国際ニュース解説 会員版(田中宇プラス)202127

http://tanakanews.com/


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覇権国に戻らない米国

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バイデン米大統領が2月4日、外交政策について就任後初の演説を行い、ロシア

を「米国と世界にとっての民主主義の敵」、中国を「世界運営(グローバル・ガ

バナンス)の敵」であると規定した。ロシアに対しては従来通りだが、中国に対

して覇権運営上のライバルであると規定し、中国がすでに覇権運営・世界運営を

行なっていることを米国が正式に認めたのはたぶん史上初めてだ。


https://www.whitehouse.gov/briefing-room/speeches-remarks/2021/02/04/remarks-by-president-biden-on-americas-place-in-the-world/

Remarks by President Biden on America's Place in the World | The White House


https://www.rt.com/usa/514663-biden-roll-over-russia-speech/

Biden Vows to Confront Russia, Enemy of Democracy, and China, Enemy of ‘Global Governance’


この件は、前回の記事で書いた、先日のバーチャルなダボス会議で中国の習近平

が主導役になった半面、バイデンが欠席したことと関連しているだろう。バイデ

ンが発表した中国に関する規定は、私の前回の記事の分析が正しかったことを示

している(私自身の中で半信半疑なところがあったが払拭された)。中国はダボ

ス会議以外の、国連やその他の国際機関などでも、日常的に主導権を発揮する場

面が多くなり、覇権運営上の米国のライバルになっている。バイデンは中国に対

し、人権や著作権や経済(貿易戦争)の面でも米国の脅威だと述べたが、これら

は従来と同じだ。中国は、すでに得ている世界運営権(覇権)を手放さないだろ

うし、米国は中国を潰せないから、米国が唯一の覇権国である状態に世界が戻る

ことは二度とない。世界は不可逆的に多極化した。


https://tanakanews.com/210205davos.htm

中国主導の多極型世界を示したダボス会議


http://www.zerohedge.com/markets/rabobank-american-exceptionalism-back-except

"American Exceptionalism Is Back", Except...


米単独覇権体制の崩壊と多極化は通貨の面でも進んでいる。米国の投資会社ダブ

ルラインは、1月に発表した報告書で、ドルを世界の単独基軸通貨とする通貨の

米国覇権体制が崩壊し、多極型の基軸通貨体制に移行しつつあると指摘した。報

告書は「米国が、中国やロシアなど非米諸国に対してドルの使用を禁止・制限す

る経済制裁を多用しすぎるため、制裁された非米諸国だけでなく、中国などと貿

易や投資の関係を持たざるを得ない米同盟諸国も、増え続ける非米諸国との経済

関係においてドルを使うことを控え、世界的にドルの使用や備蓄が減っている。

対照的に、人民元や円、ユーロなど、他の主要通貨の使用や備蓄が増え、基軸通

貨の多極化が進んでいる」という趣旨だ。


https://doubleline.com/dl/wp-content/uploads/Taking-Aim-at-the-Dollar-in-a-Multipolar-Order-January-2021.pdf

Taking Aim at the U.S. Dollar, the World Builds a Multipolar Trade-and-Payments Order


http://www.zerohedge.com/geopolitical/doubleline-warns-events-are-motion-remove-dollar-reserve-currency

DoubleLine Warns Events Are In Motion To Remove Dollar As Reserve Currency


ここ数年、とくにコロナ危機下の昨年来、経済的に米欧が横ばいやマイナスな半

面、中国の成長がいちじるしく、世界経済において中国が占める割合が拡大して

いる。世界の諸国、とくに日韓豪など東アジア諸国は、中国との経済関係を拡大

していかざるを得ない。だが、米国はバイデン政権になっても中国敵視を続けて

いる。同盟諸国は、中国とドル建てで取引すると米国にばれて問題にされかねな

いので、中国との取引はドルでなく、人民元や円など相互の通貨で行った方が良

い状況になっている。この流れの中で昨年11月に締結されたのが、中国と日韓豪

NzアセアンによるRCEPの貿易圏だった。RCEPは多極化の具体例の一つだ。RCEP

締結前から、この貿易圏内での決済の非ドル化が進んでいる。昨年末にSWIFT

(銀行間の通貨決済用の国際ネットワーク)が発表した世界の資金決済の統計でも、

ドルの総額が減っている。


http://asia.nikkei.com/Opinion/Will-China-overthrow-US-dollar-hegemony-in-East-Asia

Will China overthrow US dollar hegemony in East Asia?


https://www.caixinglobal.com/2020-07-28/opinion-china-shouldnt-take-global-payment-network-swift-for-granted-amid-potential-us-sanctions-101585666.html 

China Shouldn’t Take Global Payment Network SWIFT for Granted


同盟諸国の多くは、トランプからバイデンになった米国が、非米諸国、とくに中

国に対する不合理な敵視政策をやめて、同盟諸国が中国と取引しやすい状況にし

てくれるのでないかと期待した。中国の台頭をある程度容認することが、米国覇

権を蘇生・延命する良い方法でもあった。だが、バイデン政権はトランプの中国

敵視の多くの部分を継承した。同盟諸国は米国に失望し、静かに米国を無視し、

目立たないように中国との取引を拡大していく道を選び始めている。それがRCEP

であり、前出のダブルラインの報告書となって現れている。ドル覇権のツールの

ように言われてきたSWIFTも、国際化やデジタル化が進む人民元の中国と本格的

に組まざるを得なくなり、中国人民銀行と合弁することになった。


http://www.zerohedge.com/markets/swift-sets-joint-venture-china-central-bank-ahead-imminent-digital-yuan-launch

SWIFT Sets Up Joint Venture With China Central Bank


トランプは覇権放棄の隠れ多極主義者だったが、軍産はそれが嫌だったので(不

正選挙によって)大統領をバイデンにすげ替えた。バイデンは覇権蘇生屋になる

はずだった。しかし実際は、中国やその他の非米諸国を不合理に敵視する策を全

力で続ける姿勢を見せている。バイデン政権は、トランプと別な形の(オバマや

ブッシュと似た)隠れ多極主義にとりつかれている。同盟諸国は失望し、多極化

が進む。


http://www.investmentwatchblog.com/fed-chair-powell-inflation-can-rise-in-2021so-what-happens-to-gold/

Fed Chair Powell: Inflation Can Rise In 2021…So What Happens to Gold?


https://www.thehindu.com/news/international/us-will-take-on-challenges-posed-by-china-directly-biden/article33755690.ece

U.S. will take on challenges posed by China directly: Biden


SWIFTの統計によると、ドルだけでなく人民元の国際決済の総額も減っている。

統計に出てくるのは、人民元の決済総額のうちの一部だ。中国の政府や企業は、

米国などからの批判をかわすため、諸外国との人民元決済をできるだけ非公式に

隠然とやっている。米国が中国を敵視するほど、中国は外国勢との人民元決済を

統計に載らないようにやり、統計上の元決済の総額が増えないよう努力する。中

国の覇権拡大や経済成長の度合いから考えて、実際の人民元の国際決済の総額は

増え続けているはずだ。米国が覇権を振り回すほど、みんな本当のことを言わな

くなり、統計が信用できなくなる。


http://nationalinterest.org/print/feature/coming-soon-demise-us-dollar-177428

Coming Soon: The Demise of the U.S. Dollar?


ドルの基軸性喪失や通貨の多極化は12年前のリーマン危機のころから言われてい

たが、潜在的な流れであり、今のように各所で指摘されるようになったのはトラ

ンプの4年間とコロナ危機を経てからだ。私は、03年のイラク戦争直後から多極

化を指摘・予測して書いてきたが、ずっと妄想扱いされていた。実は、マスコミ

権威筋で描かれてきた米国覇権の永続のイメージの方が集団的な妄想(権威に従

いたがる小役人的な脳内状態)だった。イラク戦争が隠れ多極主義的な故意の失

策だった可能性は、今考えても高い。当時から潜在的な多極化の流れがあった。


http://tanakanews.com/091004hegemony.php

多極化の本質を考える


https://tanakanews.com/070612china.htm

中露の大国化、世界の多極化


2月1日、ミャンマーの軍部がクーデターを起こし、政権をとっていたアウンサ

ン・スーチーらNLD幹部たちを拘束する事件が起きた。ミャンマー軍部から見

ると、スーチーは英国MI6の要員で「英米のスパイ」だ。これまで軍部は、内

外で人気があるスーチーといやいやながら組んできたが、米国が昨秋以来の政治

混乱で覇権が弱まっているのを見て、中国から黙認的な了解を取り付けた上で、

スーチーから政治権力を奪う試みとして、スーチー政権が2期目に入った日にク

ーデターを挙行した。ミャンマーは、地政学的に米英と中国の綱引きの場である。

ミャンマーのクーデターは、米覇権の衰退と中国覇権の台頭を示している。


http://www.wsj.com/articles/coup-puts-myanmar-at-the-center-of-u-s-china-clash-11612292576

Coup Puts Myanmar at the Center of U.S.-China Clash


米国はミャンマー軍部を非難し、日本やASEAN諸国など、アジアの同盟諸国

を通じてミャンマー軍部に圧力をかける策をとると言っている。だが米国と、日

本ASEASなど同盟国の間には、ミャンマー軍部に対する姿勢に齟齬がある。

ミャンマー軍部に対し、米国は強硬姿勢で非難するが、日本などアジア諸国は非

難したがらず、事情をお尋ねする対話を続けつつ、軍部を説得しようとしている。

中国も、似たような姿勢だ。日本は、どちらかというとスーチー寄り、中国は

どちらかというと軍部寄りで、日本と中国は裏で連絡を取りつつ、それぞれの

姿勢でミャンマーを説得し、政情の再安定をめざしている。


https://www.reuters.com/article/us-myanmar-politics-china-idUSKBN2A11P2

China 'notes' Myanmar coup, hopes for stability


マスコミ(=軍産)には「日本はミャンマー軍部に甘いので米国に批判されそう

だ」などと、いまだに米単独覇権が続いていると妄想する稚拙な「解説記事」も

あり、それを真に受ける軽信者も多そうだが、日本はもう米国から批判されても

受け流すだけだ。ミャンマーに関して、米国はすでに主たるプレイヤーでなく、

後ろの方で軍部を非難して騒いでいるだけだ(だから軍部がクーデターを起こし

た)。ミャンマーの問題解決は、米国でなく中国の世界運営の領域に取り込まれ

ている。中国は、覇権国に戻りたいバイデン政権に替わった米国がどのぐらい強

く出てくるかを見るために、ミャンマー軍部のクーデターを容認したとも思える。

東南アジアは以前から中国の覇権下で、近年は東アジア(日韓朝)も中国の覇権

下に入る傾向が強まっている。


http://asia.nikkei.com/Spotlight/Myanmar-Coup/Japan-seeks-dialogue-with-Myanmar-military-after-coup

Japan seeks dialogue with Myanmar military after coup


米国の政治的な混乱や不安定化は今後も続く。ネット大企業がトランプや共和党

支持者を排除して、民主党政権を牛耳っているのがネット大企業であることを見

せつけた。大リセットはネット大企業の独裁強化策であるとも言われている。だ

が、この独裁がずっと続くかどうか怪しい。先日、ネット大企業の筆頭であるア

マゾンのジェフベゾスがCEO(最高経営責任者)から取締役会長に「退いた」。

実のところ、ベゾスは退いたのでない。アマゾン社内における権力はすべて保持

し、自分の肩書きだけを替えた。


http://www.theguardian.com/commentisfree/2021/feb/04/amazon-jeff-bezos-monopoly-power-antitrust

At last, the regime that enabled Amazon's monopoly power is crumbling


この動きは多分、これからアマゾンが独占禁止法違反を米政界から問われ、解体

を強いられるかもしれないことと関係している。ベゾスはCEOを退くことで、

米政界からの攻撃が自分のところに直接来ないようにしたようだ。今はまだ民主

党政権内の、ネット大企業と左翼の対立が表面化していないが、いずれ左翼がネ

ット大企業を「大金持ち」として攻撃する傾向が強まる。共和党支持者の過半を

占めるトランプ派も、自分たちを追放したことへの復讐としてネット大企業を解

体・無力化する政治運動に参加してくる。ネット大企業の独裁は、昨秋来の米選

挙騒動で顕在化してしまっただけに、左右から攻撃の対象にされ、長続きできな

くなっている。独裁を顕在化させた内部勢力が、ネット大企業群を自滅に導いて

いる。


http://www.wsj.com/articles/jeff-bezos-exits-as-ceo-but-his-role-at-amazon-will-likely-little-change-11612399248

Jeff Bezos Exits as CEO, but His Role at Amazon Will Likely Be Little Changed


バイデン自身も、たぶん不安定な存在だ。バイデンは痴呆症で、大統領としての

署名ができないときに妻のジル・バイデンが代わりに署名しているのでないかと

いう疑いを、筆跡を鑑定した人が指摘している。バイデンの署名の冒頭の「B」

の字が、彼自身が以前から書いていた字体(Bの左側の縦棒が離れている)でな

く、妻のジルの字体(Bが一筆で書かれている)と同じになっていることに基づ

く疑惑だ。バイデンは痴呆症で、ときどき自分が何をしているかわからなくなる

時があると、以前から共和党支持者などが指摘してきた。バイデンが痴呆症だと

したら、コロナで直接人に会わず、演説も調子が良い時に撮っておいた動画を配

信すれば良い現状は、痴呆症がばれないので好都合だ。バイデンが本当に痴呆症

なのかどうか確認できないが、今後も疑惑の指摘が続く可能性が高い。バイデン

が痴呆症なら、軍産系や隠れ多極主義系などの側近たちのやり放題になり、側近

どうしの野放図な権力闘争が続き、米政治の不安定化が加速していく。


http://www.stationgossip.com/2021/02/this-is-odd-joe-bidens-signature-on.html

This is Odd: Joe Biden’s Signature on Latest Official Documents Is Raising Eyebrows