2020年8月30日日曜日

安倍辞任は日本転換の好機ーー田中ニュースより転載

 田中宇の国際ニュース解説 会員版(田中宇プラス)2020年8月30日

http://tanakanews.com/

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★安倍辞任は日本転換の好機
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安倍首相が8月28日に辞任を表明した理由は持病の悪化だと報じられている。マ
スコミや権威筋で、この辞任理由を疑う見方はないようだ。安倍自身が作った言
論統制のシステムが見事に効いている。私から見ると、安倍の辞任の最大の理由
は健康問題でない。これまで安倍が作ってきた路線を続けられなくなったからだ。

http://tanakanews.com/200828abe.htm
安倍辞任の背景にトランプの日米安保破棄?

自民党には、安倍の仲間・同志として麻生や菅がいる。麻生や菅は、安倍がやっ
てきた戦略を熟知し、一緒に考え続け、安倍にアドバイスしてきた。安倍の辞任
理由が健康問題で、持病の悪化さえなければまだ首相を続けたいと安倍が思いつ
つ辞めるのなら、後継者として麻生か菅を公式もしくは非公式に指名し、麻生か
菅を次の首相にすることで、自分が立てた戦略の継承を望むはずだ。実際は、安
倍は自分の後継者として誰も指名していない。自民党内での選出の決定に一任す
ると言っている。麻生は、次の首相に立候補しないと表明した。菅は8月30日に
なって立候補を決めたが、安倍が菅を次期首相にしたくて、菅もその気なら、辞
任表明と同時に菅が後継者という話が出てくるはずだ。菅の立候補は安倍が推し
たものでない。菅の立候補は当て馬的な目くらましかもしれない。

岸田は、麻生や菅のように安倍の「身内」でないが、前から安倍を支持してきた。
安倍が後継者を岸田にしたいなら、そのように非公式にでも示唆するはずだ。
だが安倍はそれもしない。安倍が後継者を全く指名したがらない理由は、安倍が
後継者としてふさわしいと思っている人物が、安倍自身が嫌いだと思っている人
だからでないか。次期首相の候補と言われている人々の中で、安倍が嫌いだ、ラ
イバルだと思っている相手は、石破茂である。安倍が「日本のために次の首相を
石破にするのが良い」と思っている場合、安倍は後継者を指名せず、自民党の決
定に一任したいと言うはずだ。

石破は、安倍が辞任せず続投する予定だった段階から、今秋の自民党総裁選挙に
安倍の対立候補として出馬と表明していた。自民党全体が安倍に同調・迎合する
状況下で、石破だけが安倍に対抗しようとしてきた。石破はあえて安倍に迎合し
ない道を選び、自民党内で「村八分」的な生き方をしている。逆に言うと、日本
が安倍路線をやめて大転換するなら、石破を次の首相にしてやらせてみるのが良
いという話にもなる。安倍自身が、安倍路線の行き詰まりを悟って辞任するなら、
後継者を指名せず、その一方で、自民党内の次期首相の選出のやり方を少しいじ
って石破が選ばれるようにするのが良い。安倍は、その道を進んでいるようだと
いうのが私の今日の見立てだ。安倍は、石破に権力を譲ろうとしているのでないか。

この見立ての上で、安倍路線について考察する。今の日本にとって、最大の問題
は「米国覇権の崩壊・放棄と中国の台頭」である。この問題が難問なのは、まず
「米国の覇権が崩壊しつつある」「トランプは米国覇権を着々と放棄している」
という認識が日本人の中にないからだ。加えて日本人は「中国はけしからん。中
国と仲良くなんかできない」「中国はいずれ必ず崩壊する」といった歪曲的な価
値観も植え込まれている。マスコミや権威筋は、永遠の対米従属と中国敵視のプ
ロパガンダを充満させ、権威筋自身がそれを軽信しつつ、国民にもそれを軽信さ
せている。永遠の米国覇権と中国敵視を喧伝しない者は「外交専門家」になれな
い。これは、米国(米英)の軍産複合体(諜報界、深奥国家)が日本など世界中
に植え付けてきたプロパガンダである。

プロパガンダ的には「米国覇権は永遠で、日本は永遠に対米従属するのが良い。
中国は敵だ」であるが、現実は全く違っていて、米国は覇権を崩壊させつつ、経
済や安保の面で、日本など同盟諸国に無茶苦茶な要求をする傾向を強めている。
その一方で中国はどんどん成長・台頭し、日本など西側諸国にとって、中国は経
済的に仲良くせねばならない相手になっている。このようなプロパガンダ(表向
きの見せかけ)と、現実との乖離が、この4半世紀にどんどん拡大してきた。日
本は、米国との関係を維持するためプロパガンダを鵜呑みにしつつ、目立たない
ように中国とも良好な関係を結んで日本の経済発展を維持する必要があった。安
倍は、プロパガンダ系の勢力に後押しされて自分の権力を強めつつ、その一方で
中国との関係を強化するバランス戦略をやってきた。

http://tanakanews.com/181029japan.htm
米国の中国敵視に追随せず対中和解した安倍の日本

米国の覇権低下が不可逆的になったのは、2003年のイラク侵攻から08年のリーマ
ン危機にかけての時期以降だ。それまでの、米国覇権が永遠に見えた「戦後の時
代」に、日本は「米国にいただいた平和憲法があるので、米国に求められても日
本は軍事費を増やせません」という左翼平和運動的な「言い訳」を言って米国か
らの軍拡要求を断り、「自民党は農民など地方の票に握られているので」と言っ
て食料輸入の自由化を断ってきた。米国は、自国の覇権低下とともに、日本の権
力層が左翼やマスコミからの批判を無視して自分らの権力を拡大することを容認
し、その代わり軍拡(思いやり予算急増)やTPP加盟・輸入自由化など、米国
の言うことをもっと聞けと言うようになった。

この、米国が日本を転換させた時期に、たまたま首相だったのが安倍だった。安
倍は、日本の首相として未曾有の権力を獲得し、長期政権を築いた。対米従属と
中国敵視のプロパガンダが安倍を押し上げた。だが同時に現実は、米国の覇権低
下と中国の台頭が続いた。安倍は、表の中国敵視プロパガンダと、裏の対中従属
ともいえるような中国への接近の両方をバランスしてきた。このバランスが安倍
路線だった。

安倍が石破に権力を継承するのなら、その理由は、表の対米従属・中国敵視と、
裏の対中従属とのバランスが維持できなくなったからだ。トランプは今後2期目
に入り、日本やその他の同盟諸国に対する要求をさらに引き上げていく。トラン
プは従来、安倍の日本に対し、米軍駐留費の負担(思いやり予算)の大幅増加は
言っていたが、安倍がそれを断っても、それに対するひどい制裁をしてこなかっ
た。トランプが同盟諸国に過大な要求をする真の理由は、同盟諸国に米国との関
係を切らざるを得ないように仕向ける覇権放棄策であり、過大な要求を飲ませる
ことが目的でなかった。日本は対米従属一本槍なので、過大な要求でも飲んでし
まう。トランプは、日本に要求を飲ませるのでなく、日本を怒らせて拒否させた
い。だが、日本はそれをしない。だからトランプはこれまで日本に対して寛容だ
った。安倍は、トランプの寛容さのおかげでバランス戦略が続けられた。

2期目のトランプは、日本に対する寛容さをやめる。米国側でも、それは指摘さ
れている。トランプは日本に対し「思いやり予算の大幅増額だけでなく、中国と
縁を切って敵視することもやれ。両方やらないと在日米軍を撤退する」と言って
くる。その一方で、米国はコロナ対策としての経済停止を続け、どんどん不況が
ひどくなり、覇権国として必須だった世界からの旺盛な消費ができなくなる。今
後、旺盛な消費をしていくのは、米国でなく中国である。日本は、思いやり予算
の増額はやれても、中国との本格的な縁切りはできない。日本は経済的に中国と
縁を切れない。日本が、これまでのように優柔不断な態度を続けていると、米国
は日本から軍事撤退していく。日米安保や日米同盟は不可避的に崩れていく。日
米同盟は盤石だと言っているプロパガンダを信じてはならない。対米従属一本槍
を変えずに米中のバランスをこっそりとってきた従来の安倍路線は行き詰まって
いる。

日本が対米従属を続けてきたのは、米国が経済(消費)と安保の両面でダントツ
世界最強の覇権国だったからだ。コロナ危機の発生により米国の衰退と中国の台
頭が加速し、消費も軍事力も、近年中に米国と中国が肩を並べていく。国際政治
経済の力学的に見て、対米従属は日本の国益に合わなくなっている。この現実は、
軍産のプロパガンダによって見えにくくされている。安倍には現実が見えている
はずだ(だからこそ安倍は、こっそり中国に擦り寄ってきた)。

http://tanakanews.com/200827china.php
米中逆転を意図的に早めるコロナ危機

これからの日本に必要なのは、マスコミなど軍産官僚プロパガンダ勢力や自民党
の主流派から攻撃されても負けない指導者だ。トランプに媚を売らずに喧嘩がで
き、習近平と対等に渡り合える人物だ。バランス感覚がある人より、昭和の悪ガ
キみたいな方が良い。安倍は、軍産プロパガンダ勢力からの押しによって権力を
拡張してきた。軍産プロパガンダは安倍の弱みも握っており、安倍がこっそり対
米従属一本槍を逸脱して中国に擦り寄るたびに、森友だ何だといってスキャンダ
ルが湧き出てくる。日本では、軍産傀儡のネトウヨと同様に、サヨクも軽信的な
ひどい間抜けなので、左右の軽信者たちがスキャンダルの尻馬に乗って安倍を許
すなと騒ぎ出す。安倍自身が今後も続投してプロパガンダ勢力を振りきって対米
従属を離脱しようとすると、スキャンダルなどで潰され、犯罪者におとしめられ
て政治生命を終えることになりかねない。

そんなリスクを追うより、これからトランプが無茶苦茶言ってくることが確実な
ここいらで、病気になったことにして辞めた方が良い。9月になると米選挙前で
トランプが動き出すかもしれないので8月中が良い。安倍は、そう考えて辞任を
決めたのでないか。安倍が指導者として日本の国益を重視するなら、自分の後任
は、安倍路線のバランスで生きてきた人ではダメだと思うはずだ。この時点で菅
や岸田は不適格だ。バランス感覚など無視して自民党内で村八分になる道をあえ
て歩んでいる石破にやらせてみる方が良い。安倍がすぐれた政治家なら、そう考
えても不思議はない。昭和の悪ガキみたいな石破なら、米国の悪ガキであるトラ
ンプとも喧嘩できそうだ。石破は近年、右派だった昔と異なり、対米従属一本槍
で中国を敵視する政策を否定しつつ、中国に大幅接近している。中国では、国営
マスコミの新華社などが石破待望論みたいなものを流している。今の石破は以前
と異なり、小沢鳩山に近い位置にいる。

http://jp.xinhuanet.com/2018-08/13/c_137385796.htm
石破茂氏、安倍氏再任への挑戦者

誰になるにせよ、次の日本の首相が、これまでの軍産プロパガンダまみれの非現
実的な対米従属・中国敵視路線を脱却しようと思ったら、トランプが米国でやっ
たような劇的な動きが必要になる。最大の敵は国内の軍産プロパガンダ勢力だ。
トランプは2016年の当選時、共和党内で新参者の少数派で、軍産傘下の米マスコ
ミやエスタブ権威筋からボロクソに批判され、ロシアゲートのスキャンダルの濡
れ衣を着せられていた。だがその後、トランプはロシアゲートの濡れ衣ぶりを暴
いて逆に軍産マスコミの犯罪性を明らかにしていき、共和党を「トランプ党」に
変えていった。今では、軍産の中枢にある米諜報界はトランプ側に乗っ取られ、
米マスコミの権威も大幅に低下した。トランプは軍産の無力化に成功している。

http://tanakanews.com/181109trump.php
続くトランプ革命

これからの日本に必要なのは、トランプみたいな指導者だ。石破は自民党内で少
数派なので当選時のトランプに似ているが、石破は自民党を「石破党」に変えら
れるのか??。米国には自分の頭で考えようとする人がある程度いるが、日本に
はほとんどいないので、かなり難しいとは思う。小沢鳩山と同様、石破もほとん
ど理解されずに潰されそうだ。いつまでもクソな日本人。自業自得の衰退になり
そう。しかし、まだわからない。安倍辞任が、小沢鳩山以来の日本転換の好機で
あるのは確かだ。

https://tanakanews.com/090925japan.htm
多極化に対応し始めた日本



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http://tanakanews.com/200830japan.php

2020年8月28日金曜日

【田中宇PLUS:米中逆転を意図的に早めるコロナ危機】転載します

 田中宇の国際ニュース解説 会員版(田中宇プラス)2020年8月27日

http://tanakanews.com/

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★米中逆転を意図的に早めるコロナ危機
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新型コロナで全体状況が見えにくくなって世界の人々が気づかない中で、米国や
日本欧州など先進諸国の経済が縮小する一方、中国は早々と経済成長を復活し、
経済的に中国が米国を抜いていき、日本はますます落伍していく展開が静かに進
行している。

http://www.wsj.com/articles/chinas-economy-is-bouncing-backand-gaining-ground-on-the-u-s-11598280917
China’s Economy Is Bouncing Back?And Gaining Ground on the U.S.

中国は新型コロナを世界に蔓延させた発祥者・張本人であるが、中国自身は今年
1-5月に厳しい都市閉鎖と徹底的な追跡システムを導入し、国内のコロナ拡大を
監視して、6月には新たな陽性者がほとんど出てこない状況を作った。中国はそ
の上で、人々の行動の自由を認めていき、国内消費を再増加させていった。通勤
ラッシュや夜間・週末の繁華街の混雑が再現され、飛行機の国内線も、国内の観
光地も混んでいる。中国の小売の販売総額は7月に、コロナ前の1月より1%だけ少
ない状況まで復活した。

http://uk.reuters.com/article/us-china-economy-gdp/chinas-economy-rebounds-after-steep-slump-u-s-tensions-weak-consumption-raise-challenges-idUKKCN24H0AM
China's economy has rebounded after a steep slump - but challenges lie ahead

中国の4-6月のホテルの平均稼働率は60%で、70%だったコロナ前の前年同期に近
い水準に戻っている。先進諸国ではホテルや航空会社、飲食店などがどんどん潰
れていくが、中国では潰れず繁盛し続ける。JPモルガンが予測する今年の中国の
経済成長率は、4月時点の予測が1.3%だったが、最近2.5%に上方修正した。新型
コロナの発祥地で、1-3月に厳しい都市閉鎖が行われた湖北省の武漢市でも、こ
の3か月間、新たな陽性者が出ておらず、市街を歩く人々はマスクもせず、飲食
店など繁華街は満員だという。武漢では最近、大きなプールに市民が密集してコ
ンサートを聞くイベントも行われ、世界的に話題になった。中国は「三密」を乗
り越えてしまっている。中国は国内消費で経済成長に戻っている。経済を国内消
費主導に転換すると宣言した習近平の政策が奏功している。

http://edition.cnn.com/2020/08/18/asia/wuhan-water-park-party-intl-hnk/index.html
Wuhan hosts massive water park party as coronavirus concerns recede

http://tanakanews.com/200806china.htm
中国が内需型に転換し世界経済を主導する?

今年の経済成長がプラスになる中国と対照的に、WSJによると、米国の今年の
経済成長はマイナス8%になると予測されている。現在、世界最大の経済を持つ
米国は大幅なマイナス成長である一方、世界第2位の経済を持つ中国はプラス成
長を続ける。米国と中国の差が縮まっていく。コロナ危機前は、米中ともプラス
成長だったが、中国の方が米国より成長率が高いので、2030年にはGDP総額で中
国が米国を抜いて世界一になると予測されていた。それがコロナで米国がマイナ
ス成長に転落するので、米中逆転が2年早まって2028年に起きると予測されるよ
うになった。

http://reut.rs/3hyX0Hz
China's economy has rebounded after a steep slump - but challenges lie ahead

http://www.caixinglobal.com/2020-07-31/chinas-top-leaders-lay-out-economic-agenda-as-focus-shifts-from-pandemic-support-101587346.html
China’s Top Leaders Lay Out Economic Agenda as Focus Shifts From Pandemic Support

中国は、すでにコロナを乗り越えて経済活動をコロナ前の状態におおむね戻して
いるが、米国など先進諸国のほとんど(スウェーデン以外)はそれができず、無
意味かつ自滅的な都市閉鎖を今後も延々と続けねばならない。先進諸国のコロナ
危機は短くてもあと2年ぐらい続きそうだ。WHO事務局長が先日そのように指
摘した。先進諸国では「ワクチンができて全員に接種すればコロナを乗り越えて
以前の経済発展に戻せる」と言われているが、ワクチンは今後何年もできないと
か、ワクチンができても効果の期間が短いと言われている。そうなると先進諸国
のコロナ危機は2年でなくもっと長引く。米国のマイナス成長もずっと続く。対
照的に、中国はすでにワクチン不要でコロナ危機を脱して経済成長に戻っている。
米中の経済規模の逆転はますます前倒しされ、2025年ぐらいになっていく。

http://www.wsj.com/articles/chinas-xi-speeds-up-inward-economic-shift-11597224602
China’s Xi Speeds Up Inward Economic Shift

http://www.zerohedge.com/geopolitical/advisor-british-government-warns-coronavirus-might-be-us-forever
Advisor To British Government Warns Coronavirus "Might Be With Us Forever"

このように書くと「ほらみろ。コロナには、中国のような厳格な都市閉鎖と追跡
態勢が必須なのだ」「先進諸国の都市閉鎖は生ぬるいからダメなのだ」といった
「コロナ真に受け論者」がしゃしゃり出てくる。だが、こうしたマスコミ軽信の
真に受け論者も間違いである。前回記事に書いたように、新型コロナは多くの人
が自然免疫で乗り越える病気なので、スウェーデンや、3月までの日本や、途上
国の多くのように、ゆるやかな規制をしばらくやって事実上の集団免疫に達して
乗り越えるのが良い。

http://tanakanews.com/200824corona.htm
新型コロナ集団免疫再論

http://tanakanews.com/200608corona.htm
永遠の都市閉鎖 vs 集団免疫

世界の多くの地域は、新たな陽性者がとても少なくなり、すでに集団免疫に達し、
都市閉鎖をしなくても状況は悪化しない。だが「少しでも新たな陽性者が出てい
る限り厳しい都市閉鎖が必要だ」という間違った政策が米国主導で意図的に続け
られ、陽性者が少ないと検査数を増やして「第2波」を演出している。先進諸国
ではコロナ危機が延々と演出され、来年も再来年も続けられ、経済のマイナス
成長が続き、中国に追い抜かれていく。

http://www.strategic-culture.org/news/2020/08/24/the-quiet-american-reset/
The Quiet American Reset

http://tanakanews.com/200730portland.htm
暴動が米国を自滅させる

中国の大都市の繁華街が繁盛しているのと対照的に、NYやLA、シカゴなど米
国の大都市の多くは、都市閉鎖策が緩和されても人通りが少ない。閉店したまま
の店が多く、廃墟のような状態だ。NYやシカゴでは暴動や凶悪犯罪が急増して
いる。極左の反政府デモにかこつけて略奪が横行している。民主党支持の左翼の
政治運動のようなふりをしているので、州知事や市長が民主党の都市では取り締
まりもあまりおこなわれず、略奪や殺人が黙認されている。米国の繁栄と消費の
象徴だったNY市の荒廃ぶりが、米覇権衰退を如実に表している。

http://summit.news/2020/08/21/entrepreneur-new-york-city-is-dead-and-its-not-coming-back/
New York City is Dead and It’s Not Coming Back

http://bit.ly/2Ev2BjQ
Haunting Photos of San Francisco’s Desolate Financial District During Morning “Rush Hour”

NY、NJなどの左派の州知事らは、経済停止による税収減を金持ち増税で穴埋
めしようとして、金持ちの州外への転出に拍車をかけてしまっている。NY市な
どに住む金持ちは、略奪とテレワーク、それから増税を理由に転出していく。米
国は、コロナによる経済停止と、左翼系による破壊と、米連銀のQEによるいず
れ潰れるドルのバブル化によって自滅に向かっている。ドル建て物価のインフレ
が激化するとの警告が最近、あちこちの金融筋から発せられている。今年は米国
の大企業の倒産も史上最多になる。

http://www.zerohedge.com/markets/new-jersey-governor-proposes-hiking-millionaire-taxes-plug-1-billion-spending-hole
New Jersey Governor Proposes Hiking Millionaire Taxes To Plug $1 Billion Spending Hole

http://usawatchdog.com/permanent-economic-damage-danielle-dimartino-booth/
Permanent Economic Damage ? Danielle DiMartino Booth

http://www.zerohedge.com/markets/us-default-bomb-goes-2020-will-have-record-number-large-corporate-bankruptcies
US Default Bomb Goes Off: 2020 Will Have A Record Number Of Large Corporate Bankruptcies

日本や西欧など同盟諸国も、米国ほどでないが、米国から強要されたコロナ対策
によって自滅的に経済停止させられている。日本経済は今年マイナス5.8%と予
測されている。日本はGDP総額ですでに中国に抜かれており、これからさらに劣
勢になる。「中国は人口が多いだけ。一人あたりGDPの額は、まだ日本の方が多
い」と強がっても、日本が米国主導の自滅的なコロナ危機扇動策に追随してマイ
ナス成長が続くほど、一人あたりのGDPでも中国に追いつかれていく。

http://www.theorganicprepper.com/battle-zones-america/
Literal Battle Zones Are Erupting All Over America

http://tomluongo.me/2020/08/26/kenosha-divided-states-of-america/
After Kenosha ? Divided We Stand

私の以前からの見方は、こうした米国と同盟国(先進諸国)を自滅させ、中国を
台頭させるコロナ危機の扇動が、軍産・諜報界を乗っ取ったトランプの隠れ多極
主義・覇権放棄的な策略だろう、というものだ。日本は当初、PCR検査をできる
だけやらず全体像を曖昧にしたまま事態を自然に集団免疫に近づけ、経済停止の
自滅的な都市閉鎖をやらずに、経済成長を保ったままコロナを黙って乗り越えよ
うとした。人々の自然免疫の力が強い日本では、この方法が良いものだった。

http://tanakanews.com/200812corona.htm
ただの風邪が覇権を転換するコロナ危機

だが、トランプの米国はこれを許さず、3月後半に安倍の日本政府に圧力をかけ
た。日本側は抵抗し、経済を全停止させる都市閉鎖まではやらず、その手前の半
強制の「自粛」をうながす非常事態宣言をやらされた。7月に日本政府がGOTOキ
ャンペーンをやって経済テコ入れしようとすると、米国がまた出てきてやめろと
加圧し、金持ちの人口が多くて旅費を使ってくれそうな東京都をキャンペーンか
ら外させた。トランプは、日本経済を無理矢理に減速させることで、相対的に中
国の台頭と日本の後退を経済面から加速させ、中国がアジアの新たな盟主になり、
米国は覇権を退潮させ、日本が中国に従属せざるを得ない多極化の新状況を作ろ
うとしている。

トランプは、コロナ危機の開始後、中国敵視策を増大し、中国は報復策の一つと
して今春、中国に駐在する米国のマスコミ記者たちの行動を規制したり、中国か
ら追放したりした。コロナで中国と外部世界との航空旅客便が停止し、米英など
のスパイが中国に入りにくくなった。中国国内のコロナの追跡システムにより、
国内での外国スパイの動きも止められている。その結果、中国の内部で何が起き
ているか、以前よりわかりにくくなり、中国国内の経済成長の様子や、中共中央
における習近平の独裁強化の状況や、一帯一路諸国に対する中国の覇権拡大など
の詳細が、外部の世界に漏れにくくなった。中国(習近平)は、世界からの監視
を気にせずに覇権拡大できるようになった。世界は中国の覇権拡大に気づけなく
なり、わかった時にはもう逆転不能になっている。私から見ると、これはトラン
プの見事な隠れ多極主義戦略である。

http://tanakanews.com/200501networks.php
コロナ危機による国際ネットワークの解体

中国には、米日欧など先進諸国の企業の工場がたくさんあるが、本国の本社から
派遣され工場を統括してきた先進諸国人の要員の多くはコロナ発生後、中国を出
国して本国に戻っている。先進国側が中国を敵視し続けていると、先進諸国人の
要員が中国の工場に戻るための再入国を許可されないままになり、工場を中国側
の合弁相手に乗っ取られてしまう。先進諸国は中国と敵対しにくい。

http://bit.ly/3ljlVkN
Visa acceptance for certain Japanese, Singaporean and Indonesian citizens

中国はBRICSなど新興諸国・発展途上諸国の中でも、ダントツに経済が大きな国
になっている。インドの経済規模は中国の5分の1しかない。途上諸国は、親米
的な姿勢を続けていると、米欧側から、自滅的なコロナ対策を強要されるうえ、
従来からの人権や民主、環境などの面の歪曲された価値観を押しつけられ、思い
切った政策をやれない。

http://original.antiwar.com/?p=2012340399
Modi’s ‘New’ India: Notch Or Knot On China’s Belt (And Road Initiative)

http://nationalinterest.org/print/feature/4-reasons-why-india-couldnt-win-war-china-165053
4 Reasons Why India Couldn't Win a War With China

コロナを機に中国が経済力で米国に追いついて米中が対等な状態になり、米国が
中国を敵視して世界が米中に分裂・デカップリングしていく中で、これまで米国
側についてきた途上諸国が中国側に寝返る傾向が増していく。コロナはそれを加
速する。中国は、他国のコロナ政策に介入しない。中国は、金儲けになる国際関
係にしか敏感でない。トランプは、中国を勝たせるために中国敵視やデカップリ
ングをやっている。そんなはずはない、と思っている人は、今後の流れを読み間
違える。

http://www.globalresearch.ca/remake-1941-hitler-stalin-great-war/5720769
Towards a US-China War? The Creation of a Global Totalitarian System, A “One World Government”?



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